カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは?メリットや導入するステップ、成功事例を紹介
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客が継続的なサービス利用を果たすためにも重要な施策といえます。
特にサブスクリプション型のサービスやSaaSにおいて、顧客がサービスに慣れるまでサポートすることは非常に大切です。
サービスの利用価値を実感し、今後も継続的に利用するかどうかは、オンボーディングによって決まるといっても過言ではありません。
しかし、実際にオンボーディングをおこなうにあたってどのようなステップを踏めばよいか、わからない企業も多いでしょう。
本記事では、オンボーディングに取り組む方法や、オンボーディングの成功事例を解説します。
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目次
オンボーディングとは?
「オンボーディング」とは人事用語であり、船や飛行機に乗る「on boad(オンボード)」が由来です。
ビジネスでは、企業にとって有用な人材となるように新入社員を育成したり、早く馴染めるように研修をしたりする施策を意味します。
一方で、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、新規顧客が自社のサービスや製品を使いこなせるようになるまで伴走するプロセスを指します。
顧客に自社のサービスを継続的に利用してもらうためにも、カスタマーサクセスにおいてオンボーディングは重要です。
また、オンボーディングは解約(チャーン)を防ぐ役割も担っています。
カスタマーサクセスでオンボーディングを実施するメリット3選
自社のサービスや製品を利用している顧客を成功に導くカスタマーサクセスにおいて、オンボーディングは欠かせません。
カスタマーサクセスでオンボーディングを実施すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
顧客満足度を向上させて解約(チャーン)を防ぐ
カスタマーサクセスでオンボーディングを実施すると、顧客満足度が向上し解約(チャーン)を防ぐことができます。
SaaSやサブスクリプション型のサービスにおいて、解約率(チャーンレート)の低減は重要です。
そのためにも、ターゲットに合った適切なオンボーディング施策が必要です。
適切なオンボーディング施策を実行すると、導入後に顧客がサービスに慣れるスピードが上がって早い段階で成果を上げられたり、顧客が抱える課題をスムーズに解決できたりします。
つまり、カスタマーサクセスのオンボーディング施策をおこなうことで工数削減に繋がり、人材育成へのアプローチに繋がると捉えることができます。
すると顧客満足度が向上し、解約を免れるのです。
LTV(顧客生涯価値)を最大化させる
LTV(顧客生涯生産)とは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」のことで、顧客が自社との契約開始から終了までにもたらす利益の総額です。
LTVは、「購入単価×購入頻度×契約継続期間」の計算式で算出します。
SaaSやサブスクリプション型のサービスは、継続したい期間のみ契約が可能です。
顧客が少しでも不満や使いにくさを感じてしまうと、解約の恐れが生じることがあります。
ビジネスにおいて新規顧客を獲得し続けることも大事ですが、顧客のLTVを最大化させることも、SaaSのカスタマーサクセスにおいては重要な指標です。
アップセルやクロスセルを提案しやすくなる
手厚いオンボーディング施策を実施し、課題や悩みを共有すると顧客との仲も強化され、さらにアップセルやクロスセルを提案しやすくなります。
一度の成功体験だけでなくさらなる価値を獲得するために、自社が提供する他の上位サービスや新たなプランの契約も検討しやすくなるでしょう。
アップセルやクロスセルが成功すると顧客の単価も上がり、LTVも向上します。
そして、自社やサービスに愛着を抱く顧客のロイヤリティ化も進みます。
自社の安定した収益のため、オンボーディングを通して顧客ロイヤリティ化を目指しましょう。
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの3つの手法
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングには、ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つの手法があります。
期待されるLTVの段階ごとで顧客を選別し、それぞれのセグメントに合ったタッチモデルを選択しましょう。
ハイタッチ
ハイタッチは、いわゆる大口顧客と呼ばれる、LTVが最も高い顧客に対して行います。
具体的には以下の通りです。
- マンツーマンの個別サポート
- 個別の目標設定や定期的な報告、勉強会
顧客の状況を把握し、時間やコストをかけてサポートします。
コンサルティングに近い手厚い対応といえるでしょう。
ロータッチ
ロータッチは、ハイタッチとテックタッチの中間層の顧客に対して、主に以下のことを行います。
- 複数の顧客をサポート
- 複数でのセミナーや勉強会
- コールセンターやメール受け付け
対人やWebコンテンツの両方を組み合わせてアプローチします。
テックタッチ
テックタッチはLTVが最も低く、かつ数が多い顧客層です。
コストを最小限に抑えるため、主にWebコンテンツやテクノロジーを駆使します。
- 大多数の顧客をサポート
- 動画やチュートリアルで自主学習できるもの
3つのタッチポイントの中でLTVは低いものの、今後のオンボーディング施策によってはロータッチにもハイタッチにもなり得ます。
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カスタマーサクセスのオンボーディングを実施する手順
ここからは、カスタマーサクセスのオンボーディングを実施するステップを紹介します。
SaaSやサブスクリプション型サービスの継続利用の基盤となるため、ポイントをしっかり抑えておいてください。
①ウェルカムメッセージを送る
オンボーディングの最初に、ウェルカムメッセージを送りましょう。
ウェルカムメッセージを送ることで顧客に良い印象を与えられるほか、サービスを始める前の不安も和らげることができます。
ウェルカムメッセージは以下の内容で作成します。
- サービスや製品を契約してもらったことへの御礼
- 価値や特徴についての説明
サービス活用に役立つ動画や資料を添えると、顧客の期待値も高まります。
②ガイダンスで基本の操作方法を説明する
ウェルカムメッセージを送ったあとは、ガイダンスで基本の操作方法を説明します。
ガイダンスは、文字だけよりも図解や音楽といった視覚的な表現を駆使すると、新規顧客の理解もスムーズです。
ガイダンスを見て実際に操作しながら使い方を学べるため、抵抗なく次の段階に進めます。
それでも難しいと感じる顧客に備え、質問を打ち込めばAIが自動で返信してくれるチャットボットやヘルプページを導入してみましょう。
③トレーニングをする
基本の操作方法を習得して、さらに高度な知識や活用法を知りたい顧客には、トレーニングも効果的です。
トレーニングでは、カスタマーサクセスの担当者がセミナー活動や勉強会を実施します。
個別のトレーニングをすることで顧客の疑問を解消し、ロイヤリティ向上へと繋げていきましょう。
④データ分析をしながらPDCAを回す
サービスや製品が顧客自身に定着するまで、運用中もデータ分析を行いながらPDCAを回していきます。
一度のみで定着させることは難しいため、体験したあとに感じた新たな課題を把握・共有・フィードバックして、オンボーディングプロセスを改善していくことが大事です。
その際、顧客の視点も忘れずに意識してみてください。
定期的にメールマガジンやアンケートを打つほか、顧客とのコミュニケーションを取りつつしっかり情報収集していきましょう。
カスタマーサクセスのオンボーディングを成功させる3つのポイント
次の章では、実際にカスタマーサクセスのオンボーディングを実施する際に気を付けたいポイントを紹介します。
業務属人化を防ぎ、顧客満足度の向上にも繋がるため、意識してみましょう。
顧客の課題を把握する
顧客の課題を把握することは、カスタマーサクセスにおけるオンボーディング成功には不可欠です。
顧客の課題を正しく把握していないと課題解決はできず、オンボーディングのプロセス構築も困難になってしまいます。
そうならないためにも、顧客とのコミュニケーションを取り、課題を達成できるようヒアリングしていきましょう。
事前に営業と顧客の情報を共有し、引き継ぎ資料などを用意しておくとスムーズです。
オンボーディングのゴールとKPI(重要業績評価指標)を設定する
顧客によって「どのような状態までサービスが定着したらゴールなのか」は異なります。
そのため、オンボーディングプロセスを構築する際は、達成したいゴールを明確化させましょう。
たとえば、以下のようなゴール設定が挙げられます。
- サービス利用後は業務時間が2分短縮できている
- 基本性能を難なく活用できている
オンボーディングのゴールを定義づけると同時に、KPI(重要業績評価指標)も設定しておきましょう。
- 解約率(チャーンレート)
- アップセル、クロスセル率
- オンボーディングの完了率
- LTV
何をKPIに設定するかは目標やサービスの特性によって異なるため、顧客のニーズを明確に把握し、カスタマイズすることが大事です。
オンボーディングに役立つツールを活用する
オンボーディングを成功へと導くためには、適切なツールを選ぶ必要があります。
いくら有益で利便性の良いメルマガを配信していても、顧客がメールを見なければ意味がありません。
特にテックタッチではツールの活用は重要なため、顧客の課題やニーズに沿ったツールを選択しましょう。
オンボーディングの成功に役立つツール5選
次の章では、カスタマーサクセスのオンボーディングを成功に導くために役立つツールを5つ紹介します。
複雑なオンボーディングもツールをうまく取り入れて、従業員のリソースを獲得しましょう。
WalkMe
WalkMeはWalkMe株式会社が提供しているツールで、利用者数が世界で3,500万人を超えています。
ユーザーのITリテラシーレベルに関係なくSaaSを活用できるよう、以下のサポートをしてくれます。
- ボットでの入力
- ガイド作成機能
- 状況分析
ボットで簡単に問い合わせが可能なため、顧客のストレス低減にも繋がるでしょう。
出典:WalkMe
zendeskguide
zendeskguideは、株式会社Zendeskが提供しています。
ヘルプセンターやFAQを簡単に作成可能です。
- FAQ作成
- チームパブリッシング機能
- 顧客満足度調査
さらに、顧客の状況に合わせて4つのプランを展開しています。
出典:zendeskguide
fullstar
fullstarはクラウドサーカス株式会社が運営元で、ノーコードでチュートリアル作成が可能です。
カスタマーサクセス部門での工数を削減し、高いクオリティのUI/UXを実現します。
- チュートリアル作成
- データ分析
- カスタマーサクセス管理
Slackとも連携し、顧客のLTV最大化に寄与しています。
出典:fullstar
pottos
pottosはBtoB SaaSプロダクトのカスタマーサクセスのマネジメントツールで、株式会社ポトスが提供しています。
顧客のサービス利用状況の把握や進捗管理など、カスタマーサクセスに欠かせない一連の業務を効果的に遂行できます。
- 顧客分析
- 業務進捗管理
- 解約リスク通知
顧客の状況に合わせたメール、ポップアップ配信にも対応しており、ロータッチやテックタッチ層に向いているでしょう。
出典:pottos
Onboarding
Onboardingは株式会社STANDSが提供する、サービスのUI/UXを向上できるツールです。
- ユーザーのフェーズに応じたガイド表示
- ノーコード実装
- 機能の活用状況をレポート化
顧客に適切なチュートリアルやツールチップなど、カスタマーサクセスを実現し、様々な工数削減にも役立ちます。
出典:Onboarding
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オンボーディングの成功事例を紹介
次の章では、実際のオンボーディング成功事例を紹介します。
Canva
Canvaは誰でも無料で利用できるデザインツールです。
Canvaのサイト内にはセルフオンボーディングの仕組みが整っており、利用目的に応じて適切なページに誘導します。
チュートリアル機能もあり、実際に触りながらロゴや動画の作成方法を学習可能です。
わかりやすさとデザイン性の豊富さゆえにユーザー数も増加し、オンボーディングに成功しています。
出典:Canva
Slack
Slackはビジネスチャットアプリとして世界中で活用されており、数々の企業で導入されています。
Slackは様々な機能があり、初心者が使いこなすには難易度が高めですが、Slackボットと呼ばれる操作方法を説明するチュートリアルが備わっています。
Canva同様、使いやすさが優れている点において、Slackのオンボーディング成功の秘訣といえるでしょう。
出典:Slack
Adobe
Adobeは豊富なクリエイティブツールを展開しており、なかでも「Adobe Experience Cloud」と呼ばれるサービスを提供しています。
Adobe Experience Cloudは10種類以上のツールがあり、導入してすぐに使いこなせるかというと、そうではありません。
ハイタッチ層に向け、技術面や顧客のゴールを定義したKPIの設定、そして成功へのロードマップ作成など、手厚いサポートを実施しています。
出典:Adobe
オンボーディングの役割を理解して成功に導こう
オンボーディングは、サービス導入段階における顧客満足度を左右します。
効果的なオンボーディングを実施することで解約率(チャーンレート)を低減させ、SaaSにおいて重要な継続利用を高めていくことが大事です。
カスタマーサクセスのオンボーディングを実際にどのように進めたらいいかわからない企業の担当者がいたら、ぜひfacingにお任せください。
facingは、インサイドセールスを通じてクライアントのビジネス成功を収めることにコミットするアウトソースカンパニーです。
スタッフはみな営業経験者で、自社の最前線で顧客と折衝してきたハイパフォーマーが揃っています。
テックタッチやロータッチ層へも効率的にアプローチし、オンボーディングのメリットであるLTV(顧客生涯価値)を最大化させることに尽くします。
カスタマーサクセスにおけるオンボーディング導入を考えている方は、facingのまでお気軽にご相談ください。