人材派遣を利用するメリットとは?デメリットや雇用形態の種類・注意点を解説

人材派遣
人材派遣を利用するメリットとは?デメリットや雇用形態の種類・注意点を解説
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人材派遣は、利用する企業にとって人手不足の解消や業務効率の向上など多くのメリットがあります。
少子高齢化が進む現代では、多くの業種で人手不足に悩まされており、必要な分だけの人材を短期間で補える人材派遣のニーズは年々高まっています。
このコラムでは、人材派遣を利用するメリットやデメリット、人材派遣の雇用形態の種類や利用する際の注意点について解説します。


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人材派遣とは

人材派遣とは、人材派遣会社と雇用契約を結ぶ派遣労働者を企業へ派遣し、労働力を提供する制度です。
人材派遣会社と派遣先企業は、就業条件や就業時間などについて定めた契約書を交わすことが義務付けられています。
派遣労働者は間接雇用の形態で派遣先企業で事前に交わした契約内容通りの労働条件で業務をおこないます。
データ入力などのオフィスワークや接客業などさまざまな職種で利用されています。

派遣労働者の福利厚生と、社会保険や雇用保険、給与計算などの労務については労働契約を締結している派遣会社が責任を負います。
一方で、労働時間管理・危険防止措置(機械・爆発物による危険の防止)・健康障害防止措置の3つについては派遣先企業側の責務として定められています。
加えて、派遣先企業には派遣労働者ごとに実際の業務内容や就業時間などを記載した派遣先管理台帳を作成し、派遣会社に月1回以上通知する義務があります。

人材派遣と混同されがちなのがアウトソーシングです。
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部の企業に委託することです。
人材派遣では派遣労働者への指揮命令を派遣先企業がおこなうのに対して、アウトソーシングでは業務委託先が労働者への指揮命令をおこないます。
アウトソーシングには、コスト削減に加えて自社にノウハウや人材が不足している分野の業務を効率的に遂行し、重要性の高い業務に注力できるというメリットがあります。

人材派遣を利用するメリット

人材派遣でもテレワークなどの働き方の多様化は進んでおりフリーランスのエンジニアを派遣社員として迎えるケースもある。

企業が人材派遣を利用することで、次のようなメリットが得られます。

  • コスト・手間を削減できる
  • 人手不足を柔軟に補える
  • 業務効率向上
  • 専門スキルや経験がある人材を雇用できる

それぞれ詳しく解説します。

コスト・手間を削減できる

人材派遣を利用することで、採用のコストと手間を削減できます。
直接雇用の場合は、求人広告の掲載から候補者の書類選考、面接、最終選考などの採用活動を自社でおこないます。
一方、人材派遣を利用する場合は派遣会社が人選をおこない、派遣先はスキルシートの確認をすればよいため、採用にかかるコストと手間を省くことができます。
加えて、派遣スタッフの社会保険や雇用保険への加入、給与計算なども人材派遣会社がおこなうので、労務管理の手間とコストも省くことができます。
さらに、人材派遣の費用は財務上は変動費に計上できるのも大きなメリットの一つです。
財務上の固定費を減らすことは、融資を受けたい企業にとって、銀行対策にもなります。

また、人材派遣を活用すれば残業問題も解決できます。
労働基準法で、時間外労働には割増賃金を支払うよう義務付けられています。
人材派遣の費用は一般的に直接雇用よりも割高の場合が多いですが、社会保険料などの分も含めた料金と考えると実際にはそう高くありません。
人材派遣を活用し残業を減らせば、残業代の減少や過度な残業が原因の離職を回避する効果が期待できます。

人手不足を柔軟に補える

人材派遣会社によっては、最短1日から必要に応じた日数だけ利用できるため、繁忙期の人手不足や、急な病欠、出産・育休期間中による休業者が出た場合など、欠員した分を柔軟に補充できます。
人材派遣を活用して一時的・突発的な人手不足を柔軟に補うことで、ビジネスの機会損失を防ぐと同時に、無駄な人件費を抑えることができます。

業務効率向上

派遣スタッフに定型業務を任せることで、自社で直接雇用する社員がコア業務に専念できます。
自社の人的リソースを重要度の高い業務に集中させることができ、業務効率の向上につながります。

専門スキルや経験がある人材を雇用できる

人材派遣を利用すれば、必要な時に即戦力になる専門性の高い人材を確保できます。
エンジニアや財務スペシャリスト、IT系など、専門スキルやキャリアを持つ人材も派遣会社に数多く登録しています。
専門スキルが必要な業務が一時的に発生する際に人材派遣を利用することで企業が抱える人材不足問題を解決できます。

人材派遣を利用するデメリット

求職者が仕事を探すときは派遣会社のHPで検索すると良い。専門職や在宅ワークなど多様な働き方の中から最新の情報を得ることができる。

人材派遣の利用には、次のようなデメリットがあるので注意が必要です。

  • 帰属意識が薄い
  • 一定の育成期間・コストが必要

それぞれ詳しく解説します。

帰属意識が薄い

派遣スタッフは、直接雇用の社員やパートやアルバイトの従業員に比べると派遣先企業への帰属意識が希薄になりやすい傾向があります。
企業への帰属意識が低い場合、コンプライアンス順守やセキュリティ対策への意識も低くなりがちで、情報漏えいなどのリスクが高まります。
コンプライアンスやセキュリティに対する意識を高めるために研修や勉強会をおこなうなどの対策が必要です。
また、帰属意識が低いことはモチベーションの低下にもつながります。
派遣スタッフにも直接雇用のスタッフと同等のモチベーションを持って働いてもらえるように、直接雇用のスタッフと派遣スタッフを区別せずに扱うことが大切です。

一定の育成期間・コストが必要

人材派遣を利用する際は、企業の目的に合った専門スキルや経験がある人材を派遣してもらいますが、社内のシステムやルールなどその他の教育が必要です。
そのため、即戦力となる人材でも一定の教育期間・コストが発生します。

また、人材派遣では数か月の契約期間終了後に契約更新を繰り返すことは可能ですが、原則として同じ職場で働けるのは最長で3年です。
そのため、3年経過後は別の派遣スタッフに再度教育が必要となります。


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人材派遣の雇用形態は3種類

人材派遣の雇用形態には、無期限に利用できるタイプや、直接雇用を前提とするタイプがあります。
人材派遣の雇用形態の種類を把握して、自社に最適な雇用形態を選択しましょう。

人材派遣の雇用形態には、以下の3種類があります。

  • 有期雇用派遣
  • 無期雇用派遣
  • 紹介予定派遣

ひとつずつ解説します。

参考:派遣社員を受け入れるときの主なポイント | 厚生労働省 

有期雇用派遣

派遣社員の多くが有期雇用派遣に該当します。
有期雇用派遣は登録型派遣とも呼ばれ、派遣会社に登録した人材が派遣先企業に勤務する一定期間のみ派遣会社と雇用契約を結びます。
労働者派遣法では、一部の例外を除き事業所単位、個人単位でそれぞれ原則3年の期間制限が定められています。

選考する手間を省いて、必要な時期に柔軟に人手を確保できる点が有期雇用派遣のメリットです。

無期雇用派遣

無期雇用派遣は常用型派遣とも呼ばれ、派遣会社と派遣労働者が無期雇用契約を結んでいます。
無期雇用派遣の場合は期間の制限がなく、同一の事業所で3年を超えて働くことができます。
派遣スタッフは派遣会社に雇用されている正社員または契約社員になります。
派遣先企業との契約期間が終了し、次の受入派遣先が決まるまでの間も派遣会社は派遣社員に給料を支払います。
そのため、無期雇用派遣の派遣社員は安定した収入を得ることができます。
無期雇用派遣は、エンジニアやCADオペレーターなど専門性のあるスキルや経験を持っている人材が多い傾向があります。

専門スキルを持った優秀な人材を長期的に確保できるのが無期雇用派遣のメリットです。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、派遣期間終了後に派遣社員を正社員や契約社員として直接雇用することを前提としている派遣形態です。
派遣期間は最長6ヶ月で、派遣の契約満了の時点で派遣社員と派遣先企業の双方で合意があれば正社員として採用されます。
人材派遣では原則として事前面接は禁止されており顔合わせしかできませんが、紹介予定派遣の場合は正社員雇用を前提としているため事前面接が認められています。

一定期間派遣社員として実際の職場で働いてもらい、業務への適性や人柄を把握した上で直接雇用するかどうかを判断することで、入社後のミスマッチを防げるのが紹介予定派遣のメリットです。

人材派遣の注意点

一般的なの派遣は有期での雇用になるが無期で雇用できる派遣制度もある。派遣会社を利用すると、給与の計算などは派遣会社がやってくれるため、業務を効率化できる。

人材派遣には、労働法で定められているさまざまなルールがあります。
違反をすると罰則の対象になるので、人材派遣を利用する際には法律で定められているルールを理解しておく必要があります。

人材派遣を利用する上で特に留意すべき事項は以下の5つです。

  • 派遣禁止業務がある
  • 二重派遣の禁止
  • 偽装請負の禁止
  • 同一労働同一賃金の実施
  • 派遣先責任者の設置が必要

ひとつずつ解説します。

派遣禁止業務がある

労働者派遣法によって、以下の5つの業務を労働者派遣事業でおこなうことは禁止されています。

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 医療関連業務
  • 弁護士・社会保険労務士などの士業

派遣社員の業務に派遣禁止業務が含まれていた場合は、労働者派遣法違反になります。
違反した場合、人材派遣会社には罰則が科せられ、派遣先企業に対しては是正勧告や、勧告に従わない場合は企業名の公表などの措置がおこなわれる可能性があります。

参考:しくみと法律 | 一般財団法人 日本人材派遣協会

二重派遣の禁止

二重派遣とは、派遣先企業が受け入れた派遣社員を派遣先企業の指示で取引先など別の企業に派遣することです。
二重派遣の場合、派遣社員は雇用関係がなく、雇用主との派遣契約もない無関係の企業で働くことになり、職業安定法違反になるので注意が必要です。

偽装請負の禁止

偽装請負とは、実態は労働者派遣であるにも関わらず書類上は請負契約に偽装することです。
請負契約では、依頼者側は労働者に指揮命令権はありません。
そのため、請負契約を結んでいる労働者に依頼者側から指揮命令をする行為は理由を問わず違反に当たります。
依頼者側から労働者に指揮命令をおこなう場合は、労働者派遣契約を締結する必要があります。

参考:あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ? | 厚生労働省 東京労働局

同一労働同一賃金の実施

2020年の労働者派遣法の改正により、同一労働同一賃金が施行されました。
同一労働同一賃金とは、同一企業における正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、アルバイト、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

正社員と派遣社員との間で不合理な待遇差があれば、違法となり損害賠償請求などのリスクが生じます。

派遣先責任者の設置が必要

労働者派遣法では、派遣スタッフの就業管理や適正な就業を確保するため、派遣先責任者を設けるよう定めています。

派遣先責任者には、以下の3つの条件を満たしていることが求められます。

  • 労働関係法令に関する知識を持っている
  • 人事・労務管理などについての専門的な知識または経験がある
  • 派遣労働者の就業に関する事項に一定の決定・変更をおこなう権限を持っている

派遣責任者になる人物が上記の条件に該当しない場合は「派遣先責任者講習」を受ける必要があります。


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人材派遣を利用することで、マンパワー不足問題を解消し業務効率の向上やコスト削減などのメリットが期待できます。 
人員を柔軟に調整したり、専門スキルを持つ人材を確保したり、人材派遣を上手に活用すれば企業が抱えるさまざまな問題を解決できます。
人材派遣のデメリットや法律上のルールを理解し、対策をした上で利用することが大切です。

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