シルバー人材派遣とは?シルバー人材センターを利用するメリットや注意点を解説
シルバー人材派遣とは、シルバー人材センターの事業で、高齢者を労働者として派遣してもらう事業です。
高齢者といっても最近では、アクティブシニアといわれるような元気な高齢世代が多く、定年退職後もそれまでの経験や知識を活かしてお仕事を続けている人が増えています。
そういった経験豊富な人材を活用しつつ、社会貢献につなげるのがシルバー人材派遣です。
シルバー人材派遣やシルバー人材センターの事業について詳しく説明しながらメリットや注意点を紹介しますのでぜひ参考にしてください。
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目次
シルバー人材派遣とは?
シルバー人材派遣とは、シルバー人材センターに登録している高齢者の会員を労働者派遣してもらい、発注者の指揮命令によって働いてもらうことです。
企業などの発注者が、会員に直接指示できるのがポイントになります。
派遣されてくる人はシルバー人材センターの会員なので、原則60歳以上の人です。
シルバー人材センター事業
シルバー人材派遣は、シルバー人材センター事業にあたります。
シルバー人材センターは、60歳以上の高齢の会員がさまざまな業務を行い、生きがいを得てもらうための社会貢献をする組織です。
シルバー人材センターの事業には、雇用契約が発生しない短期的で軽易な業務のほか、会員を労働者派遣したり、職業紹介をしたりといった事業も行っています。
シルバー人材センターの基本情報
シルバー人材センターは、各市区町村に置かれている組織です。
社会でまだまだ活躍したいと考えている会員が、家庭や企業などから依頼された業務を行うことで、地域社会に貢献します。
各市区町村にありながら、あまり知られていないシルバー人材センターの情報について紹介します。
市区町村単位で設置されている公益社団法人
シルバー人材センターは原則として市区町村単位に設置されている、高齢社会対策のための公益社団法人です。
そのため利益の追求だけではなく、社会によい影響を与える事業を行っています。
センターの理念は「自主・自立、共働・共助」とし、会員が自主的に組織や事業に参加することを目指しています。
また都道府県全域のどこに住んでいてもシニア層が事業に参加できるように、シルバー人材センター連合会が普及活動などを行っています。
高齢者の生きがいや社会の活性化が目的
シルバー人材センターは定年退職後などの高齢者に、「生きがいを得るための就業」をしてもらうことを目的としています。
高齢者といっても元気なアクティブシニアが増えている昨今、豊富な経験や知識を業務を通して役立ててもらい、生きがいを得てもらうのです。
高齢者に労働を通して社会参加をしてもらい、地域社会の活性化も目指しています。
会員による労務提供
シルバー人材センターに依頼された業務は、登録している会員が行います。
会員は原則60歳以上の高齢者です。
高齢者が行う業務なので、臨時的だったり、短期的だったりする軽易な業務が主になります。
また金銭が発生する業務だけでなく、ボランティア活動やサークル活動も行い、地域社会へ貢献しています。
会員の条件
シルバー人材センターに会員登録している高齢者は、以下の条件をクリアした人です。
- 原則60歳以上の働く意欲がある人
- シルバー人材センターの趣旨に賛同した人
- 入会説明を受けて申し込みをした人
- 会費を納入できる人
シルバー人材センターの業務は一定の収入を保証するものではなく、あくまで生きがいを得て働いてもらうのが目的です。
そのため自主的に活動できる高齢者が仕事をします。
シルバー人材センターの業務の種類
シルバー人材センターに依頼できる業務の種類は、基本的に以下の通りです。
- 請負・委任
- 派遣
- 職業紹介
雇用関係がなく会員自ら業務を引き受けてもらう「請負・委任」か、雇用契約を締結する「派遣・職業紹介」があります。
詳しく説明します。
請負・委任
シルバー人材センターの業務契約の基本形態として、請負と委任があります。
この2つの契約は、発注者(依頼主)がシルバー人材センターに仕事を依頼し、会員が請け負ったり、委任されたりしてその業務を行います。
そして会員は自らその業務を引き受け、賃金ではなく配分金という形で報酬を受け取ります。
この基本の2つの業務契約の場合、会員とシルバー人材センター・発注者の間に雇用関係はありません。
そのため発注者は、業務を行う会員に指揮命令をすることができません。
派遣事業
請負や委任の業務契約では、シルバー人材センターの会員に仕事の指揮命令を直接できないため、多様な働き方を実現するためにシルバー派遣事業が開始されました。
シルバー派遣は、「発注者の従業員との混在作業」や「指揮命令を受ける作業」など、これまで請負や委任ではできなかった働き方ができます。
発注者はシルバー人材センターと派遣契約を結び、シルバー人材センターに雇用された会員が派遣されます。
そして派遣された会員には、月10日程度で週20時間未満の就業と制約があります。
有料職業紹介事業
シルバー人材センターの事業には、求人者(事業主など)に高齢の求職者をあっせんする職業紹介事業があります。
求人者が直接社員として雇用する契約になるので、指揮命令をすることが可能です。
職業紹介は会員とは限らず、原則60歳以上の定年退職者などが対象になります。
高齢者の雇用になるので、「臨時的かつ短期的又は軽易な業務に係る就業」の求人が対象です。
採用したら、シルバー人材センターに求人者が紹介手数料を支払います。
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シルバー人材センターで依頼できる仕事
シルバー人材センターには、意外と多彩な作業を依頼することができます。
ただし依頼できる仕事は、各シルバー人材センターによって異なります。
詳細はお近くのシルバー人材センターに確認してください。
企業がシルバー人材センターに依頼する主な仕事について紹介します。
事務分野
事務分野は、企業が依頼しやすい業務の1つです。
意外と頼める人が少ない筆耕や宛名書きなどは、経験豊富なシルバー人材が役に立つでしょう。
依頼できる事務分野の例は以下の通りです。
- 毛筆による筆耕(賞状書きなど)
- 一般的な事務作業
- パソコン入力
- 経理事務
管理分野
施設の管理は人手が必要な業務の1つです。
そこでシルバー人材センターの会員に依頼できれば、費用も安くおさえることができるでしょう。
管理分野の主な例は以下です。
- ビルなどの建物の管理
- 駐車場・駐輪場の管理
- 体育館などの施設管理
その他の一般的な軽作業
企業の活動だけでなく、経験豊富な高齢者に依頼できる軽作業も多彩です。
例えば以下のような作業があります。
- 家事援助や子育て支援などのサービス
- 植木や庭木の剪定や草刈り
- 翻訳や通訳
- 屋内外の清掃
高齢者が持つ経験や知識を活かせる仕事は、数多くあります。
また専門性の高い技能分野の仕事も、依頼することが可能です。
手伝って欲しい業務があるけれど、新たに人を雇用するほどではないと感じるなら、一度地域のシルバー人材センターに確認してみるとよいでしょう。
企業がシルバー人材派遣を利用するメリット
シルバー人材派遣を利用すると、人件費を削減できたり、社会貢献になったりとさまざまなメリットがあります。
ここではシルバー人材派遣を利用するメリットを紹介します。
人件費削減になる
シルバー人材派遣は公益法人のシルバー人材センターが行っているので、民間の派遣会社を利用するより、派遣料が安くすみます。
またシルバー人材センターを利用して労働者を派遣してもらうので、労災保険やその他の社会保険料の負担がありません。
もし業務中に会員がケガをしてしまったとしても、シルバー人材センターで加入している保険で賄われます。
知識豊富な経験者を獲得できる
働く高齢者は、経験や知識を豊富に持ち合わせています。
そのためシルバー人材を利用することで、即戦力となる人材を獲得できるでしょう。
シルバー人材センターの会員なら健康で働く意欲があり、自立精神が高いといえるので、若手に引けを取らずに働いてくれる可能性が高いです。
社会貢献になる
近年ではダイバーシティ(多様性)が注目されています。
企業としてダイバーシティを実現することは、会社としてのイメージの向上につながります。
シルバー人材が企業に入ることで幅広い年代の交流につながり、職場のダイバーシティの実現に寄与してくれるでしょう。
また高齢者の生きがいを提供する会社として、地域や社会へ貢献できます。
シルバー人材派遣の注意点
シルバー人材派遣を利用する時、依頼できる仕事内容などに制限があるので注意が必要です。
派遣される労働者は高齢者なので、体力などの問題もあり配慮が必要だからです。
シルバー人材派遣を利用する際の注意点を説明します。
依頼できる仕事内容に制限がある
シルバー人材センターに依頼できる仕事内容は、高齢者の体力に考慮した軽易な作業が主です。
そのため長時間労働や、危険で有害な作業などの重労働の依頼はできません。
シルバー人材センターに依頼できる仕事は、「高年齢者の雇用の安定等に関する法律」で定められていて、原則「臨時的かつ短期的な就業」が条件になっています。
就業日数・時間に制限がある
シルバー人材センターの請負・委任・派遣の仕事は、1人あたりの就業日数や時間に制限が設けられています。
原則として1人当たり月に10日程度で週20時間未満の業務を行うように、調整されています。
元気なアクティブシニアで働く意識が高いとしても体力の問題などがあるため、就業時間を超えないようしっかり守らなければいけません。
派遣される会員を指定できない
シルバー人材センターでは、1人の派遣労働者に対しての就業日数と時間が決められているため、連日同じ人に同じ作業を依頼することが難しい場合があります。
そのため複数の会員が交代で就業することがあります。
同じ人に同じ作業を毎日依頼することは難しいので、業務の配分に注意が必要です。
シルバー人材センターの利用の流れ
シルバー人材センターを利用するには、会社の所在地を管轄するセンターへ問い合わせが必要です。
シルバー人材センターを利用する際の、基本的な手続きなどの流れを紹介します。
管轄のセンターへ申し込み
シルバー人材センターを利用したいときは、会社がある地域のセンターの事務局へ申し込みをします。
申し込み方法は電話やFAXなど、センターによって方法が異なるので確認が必要です。
見積りを提示
申し込み後にシルバー人材センターから、相談や見積りの連絡がきます。
依頼したい内容によって、現場の確認をすることもあります。
1時間あたりいくらなど、業務によって単価が決められている場合もあり、センターによって料金が異なるので確認が必要です。
そのため依頼したい仕事内容を、事前にしっかりまとめておく必要があるでしょう。
契約
見積り提示後、就業の条件や金額の合意ができたら契約です。
センターによっては現場を見てから契約するなど、契約までの流れが異なるので確認が必要です。
そして仕事内容によって、請負契約か委託契約を締結します。
派遣の場合は、労働者派遣契約になります。
契約は単発か継続かも相談できるので、各センターに問い合わせしてみてください。
就業
仕事内容が決まったら、シルバー人材センターで会員を選出して業務にあたります。
請負・委任契約の場合は、発注者は指揮命令ができないので注意しましょう。
派遣契約の場合は、直接派遣された会員に指揮命令を行うことが可能です。
請求
業務終了後、会員は履行確認書をシルバー人材センターに提出します。
履行確認書をもとに事務局から請求書が送られてくるので、支払期限までに対応しましょう。
派遣契約の場合は、派遣元のシルバー人材センターから請求書が送られてきてから支払いをします。
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シルバー人材派遣は派遣料を安く抑えられ、会社のダイバーシティを実現できるというメリットがあります。
また、地域の高齢者に生きがいを持って働いてもらえるので、社会貢献につながるでしょう。
しかしシルバー人材センターを利用する人材派遣は、労働内容や就業時間に制限があるため、依頼するのはよく検討してからが良いでしょう。
「人材派遣を導入したいけれど、どうすればよいのだろう」とお悩みなら、ぜひfacingまでお気軽にご連絡ください。
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