人材派遣業界の今後は?現状と課題、生き残り戦略について解説

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人材派遣業界の今後は?現状と課題、生き残り戦略について解説
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人材派遣業界の今後は、どのようになっていくのでしょうか。
現在の日本では、あらゆる職種で人材派遣が活用されており、人材派遣業界は労働市場で重要な役割を担っています。
しかし、日本は2025年に分岐点を迎え、超高齢化社会になります。
日本のさまざまな企業が超高齢化社会の影響を受けるとされており、人材派遣業界も例外ではありません。
この記事では、人材派遣業界の今後について解説します。
人材派遣業界の現状や抱える課題、生き残り戦略についてもご紹介していきます。
人材派遣の利用をご検討の方はぜひ参考にしてください。


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人材派遣業界の現状は?

2024年現在、国内企業の人手不足を背景に人材派遣業界の需要は高まっています。
業界動向サーチの「人材派遣業界の動向や現状、ランキングなど」によると、2022〜2023年の人材派遣業界の業界規模は約6兆円、成長率は約10%でした。
人材派遣業界の業績は、求人倍率の高さに比例して良くなる傾向があります。
新型コロナウイルスの影響で、2020〜2021年は有効求人倍率の平均が1.2倍を下回りましたが、徐々に回復し2022年以降は1.2倍以上で推移しています。
人材派遣業界は、コロナ禍で一時期需要が低迷しましたが、現在はコロナ禍以前の需要を取り戻しつつあります。
厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」の集計結果によると、2024年6月1日時点の派遣労働者の数は約192万人で前年比3.4%増でした。
職種別にみると、製造業と事務職の割合が特に多く、医療や介護関係、飲食関係などの業種は割合が低いことがわかりました。
しかし、今後は高齢化社会の影響やAIの台頭によって、割合が逆転する可能性も考えられます。
特に来年訪れる「2025年問題」は、人材派遣業界にもさまざまな影響をもたらすと予想されています。

参考:業界動向サーチ|人材派遣業界の動向や現状、ランキングなど
参考:厚生労働省|労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況

2025年問題とは

2025年問題とは、日本が超高齢化社会になることで直面するさまざまな社会問題のことを指します。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年には、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるという調査結果が出ています。
一方で少子化はさらに加速し、人口減少が続くとみられています。
高齢化社会が進行することによって労働人口が減少し、日本のあらゆる業界で人手不足が深刻化し、人材確保の競争が激化すると予測されています。
労働人口とは、労働がおこなえる15歳以上の就業者や休業者、完全失業者の合計のことです。
労働人口の減少によって、特に医療・介護業界の人材不足が懸念されています。
加えて、医療費や若年層の社会保険料の負担が増加し、日本の医療保険制度を揺るがす可能性が指摘されています。

参考:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)

人材派遣会社の展望

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日本の労働人口は、40年後には4割減少するという調査結果があります。
労働人口が減少すると人材派遣業の需要も減り、業界規模が縮小していくことになると懸念されています。
また、AI技術の進歩により、今後は多くの仕事がAIに置き換えられると予測されています。
特にデータ入力業務などの事務職はAIの導入によって需要が少なくなる可能性が高いとみられています。
将来的には単純な仕事内容の業務のほとんどをAIが担い、人材派遣の業務はAIでは不可能な業務に限定されるでしょう。
一方で、一部の職種では人材派遣の需要が高まる可能性があります。
パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には人手が644万人不足するという推計結果があります。
業種別にみると、福祉・医療・サービス業など現在も人手不足に悩まされている業種が少子高齢化の影響で今後も需要が伸び、人手不足問題がより一層深刻化すると予測されています。
人材派遣業界の需要は求人倍率の高さに比例するため、人材派遣のニーズは現在よりも高まると予測できます。

参照:みずほ総合研究所|少子高齢化で労働力人口は4割減
参考:パーソル総合研究所|労働市場の未来推計2030

人材派遣業界が抱える課題

人材派遣業界が抱える主な課題を4つ挙げます。

  • 利益率の低さ
  • 景気に影響される
  • 人材の確保
  • 同一労働同一賃金の影響

それぞれ解説します。

利益率の低さ

人材派遣業界は、広告業界に並び市場規模が大きい業界ですが、利益率は低いのが現状です。
人材派遣業のビジネスモデルでは、派遣先の企業が支払う料金の約30%を手数料として派遣会社が徴収し、約70%が派遣社員の給料として支払われます。
派遣会社は30%の手数料から社会保険料や経費を支払い、その残りが派遣会社の利益です。
派遣会社の営業利益は、派遣社員の給料の1.2%ほどしかありません。

景気に影響される

人材派遣業界は景気の影響を受けやすく、景気が悪くなると人材派遣の需要が減ります。
リーマンショックやコロナ禍では、自動車メーカーなどで多くの派遣切りがおこなわれました。
人材派遣業界は、景気が上を向くと売上高が伸びますが、景気が下向きになると売上高が減るため中長期的に経営を安定させるのが難しい業種といえます。
現在は新型コロナウイルスの影響も落ち着き、人材派遣業界の需要は回復しつつありますが、この先、人口の減少によって景気が悪化すれば人材派遣業界の需要も減っていくでしょう。

人材の確保

労働人口が減少している日本では、派遣社員として登録して働く人材の獲得も課題となっています。
特に高いスキルを持つ人材は派遣先も決まりやすく、各社で獲得のための競争が激化しています。
派遣会社が生き残っていくには、求職者に自社の魅力をアピールできるような対策が必須と言えるでしょう。

同一労働同一賃金の影響

2020年に労働者派遣法によって同一労働同一賃金が導入されました。
同一労働同一賃金とは、正社員と派遣社員やパートなどの非正規雇用者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
これによって、年収の増加や正社員と同じ施設が利用できるようになるなど、派遣社員やパートとして働く労働者の待遇改善が期待されるようになりました。

一方で、同一労働同一賃金によって派遣先企業の負担は増加しました。
同一労働同一賃金には、賃金だけでなく手当や教育研修も含まれるため、派遣先企業の人件費の負担が増え、人材派遣を利用するメリットが少なくなります。
そのため、人材派遣の利用をやめて正社員の雇用へ転換する企業もみられます。


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人材派遣会社の生き残り戦略

2024年の先行きとは。人材派遣業の市場規模の推移について、一般社団法人「日本人材派遣協会」のnHPで見ることができる。法改正なども行われており、社会保険の在り方や労働契約法が変化していく可能性がある。

人手不足や利益率の低さが原因で、倒産する派遣会社も少なくありません。
一方で、さまざまな戦略を実践し成長し続けている企業もあります。
人材派遣業界で生き残っていく企業が実践している戦略を5つご紹介します。

  • M&Aによる事業拡大
  • 事業の多角化
  • 派遣社員の育成
  • 外国人労働者の採用
  • DX化の推進

それぞれ解説します。

M&Aによる事業拡大

人材派遣業界では、M&Aが活発化しています。
M&A(企業の合併や買収)をおこなうことで、事業規模を拡大し、自社にないリソースを獲得できるからです。
事業規模が拡大すれば、人材教育を目的とした投資をおこなうことも可能になります。
中小企業の派遣会社にとっては、大手企業の傘下に入ることは有効な生き残り戦略です。

これから人材派遣業界に参入する大手企業にとっても、人材派遣会社を買収することで派遣先企業の開拓や派遣スタッフの獲得にかかる手間やコストを省き、実績やノウハウが得られるというメリットがあります。
派遣会社同士だけではなく、異業種の会社同士のM&Aも数多くおこなわれています。
異業種の会社とのM&Aによって、事業拡大と併せて経営の多角化を実現することも期待できます。
また、人材派遣業で需要が高いスキルや資格を持った人材を抱える企業とM&Aをおこなうことで、派遣人材の質を高めることも可能です。

事業の多角化

人材派遣業のノウハウを活かして積極的に事業展開をすることが、安定的に事業を継続することにつながります。
人材派遣業界は利益率が低く、景気動向に影響されやすいため、安定した売上を確保するために事業の多角化を進めることが重要です。

特に、少子高齢化社会においても需要が高く将来性がある業種に事業を多角化することで利益率の改善が見込めます。
具体的には、人材派遣業のノウハウを活かした人材紹介業や、今後需要がますます高まる高齢者向けビジネスなどが選択肢として挙げられます。

派遣社員の育成

派遣社員の育成に注力することは、人材派遣会社にとって有効な生き残り戦略です。
現在の日本では、人材派遣業界もすでに人手不足問題に直面しています。
もともと専門スキルや資格を持った人材は取り合いになり獲得が難しいため、十分な人材を確保するためには、派遣会社が人材を教育・育成することが重要です。
求職者にとっても、自分のスキルアップにつながるため派遣会社の教育制度が充実していることは魅力になります。
求人の際の広告で教育制度やスキルアップ制度をアピールすることで人材確保をしやすくなるというメリットもあります。
また、人材派遣業界では、今後の少子高齢化の進行にともなう社会構造の変化によって、需要が高い業種と低い業種が明確に分かれることが予測されています。
今後は特に医療や介護などの専門のスキルや資格を持った派遣社員のニーズがより一層高まるでしょう。
ニーズが高い分野で派遣会社独自の教育制度やスキルアップのカリキュラムを整備し、自社で派遣社員の育成に取り組んでいる企業は今後も生き残っていくでしょう。

外国人労働者の雇用

近年、多くの企業でグローバル化に向けた動きが盛んになっており、人手不足解消のために外国人労働者を採用する企業は増加の傾向にあります。
商社や金融業界、不動産業界などさまざまな業界で英語力を含め世界で通用する人材を必要とするようになり、人材派遣業界でもグローバルな人材の需要が高くなっています。
加えて、日本の労働人口の減少にともない、人材派遣会社も人手不足問題に直面しており、派遣社員の確保のためには、日本人だけでなく外国人の採用を積極的におこなうことが重要になっています。

しかし、外国人を雇用するには、在留資格の申請や確認などの手続きに加え法律の知識が必要です。
派遣会社は、外国人労働者の就労に関する制度を理解し、就労ビザのサポート体制などを整える必要があります。

また、日本語力のチェックや適性検査なども派遣会社側でおこないます。
派遣先企業は人材派遣を利用することで、直接外国人を雇用する場合に比べて多くの手間やコストを省くことができるというメリットがあります。

DX化の推進

人材派遣業界でもDX化を推進することで、無駄を削減し生産性を向上させることができます。

DXとは、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルそのものを変革し、企業の優位性を確立することです。

人材派遣会社でDX化できる業務の具体例は以下の通りです。

  • 派遣スタッフの採用
  • 勤怠管理
  • 給与・請求管理

デジタル格差は今後ますます拡大していくとみられます。

DX化による効率化を推進し営業利益率の向上に努めている企業は今後も人材派遣業界で生き残るでしょう。


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人材派遣業界の今後

業種によって人材派遣業界の展望は異なるが、衰退していくことはないだろう。大手の資本の傘下で事業は継続されていく。

労働人口の減少にともない、必要な人材をすぐに確保できる人材派遣の需要が高まっていることがわかりました。
特に福祉や医療、サービス業など少子高齢化の進行によって今後ますます人手不足が深刻化する分野においては、この先より一層ニーズが高まっていくでしょう。
人材派遣業界は、今後も人手不足問題に直面する業界において、労働力を提供するという重要な役割を担っていくことが予想できます。

利益率の低さや景気に影響されやすいなどいくつかの課題を抱えていますが、時代の変化に適応できるよう早い段階で準備し、計画的に戦略を実行する企業は明るい未来へ向うでしょう。

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この記事では、人材派遣業界の今後や展望について解説しました。
また、人材派遣業界の現状や抱えている課題、生き残り戦略についてもご紹介しました。

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