人材派遣会社を作るには?資格の取り方や必要書類、人材派遣業許可要件まで解説!

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人材派遣会社を作るには?資格の取り方や必要書類、人材派遣業許可要件まで解説!
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人材派遣業とは、人材派遣会社が自社で雇用している派遣スタッフを契約先の企業に紹介し、労働力を提供する事業です。
派遣事業の市場規模は近年急速に業務を拡大しており、2020年度売上で約8.6兆円、派遣社員数は約142万人に上るといわれています。

この人材派遣業の可能性は今後も広がっていくことが予想されますが、実際に人材派遣会社として開業する際には厚生労働省の認可を取得したり、必要となる資格や手順が存在するため、しっかりとした事前準備が必須となります。

本記事では、人材派遣業を開始するための必要資格、また人材派遣業許可について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。


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人材派遣業とは

そもそも人材派遣業とはどのような業種なのでしょうか。

人材派遣業とは、派遣会社と雇用関係にある人材を、人材を求める企業へ派遣し、労働力の提供を行う事業を指します。
人材派遣に関する法律として「労働者派遣法」が存在します。この労働者派遣法では、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを業として行うこと」と定義しています。

「従業員を集め、人材を必要としている場所への派遣を行う」という面では、人材派遣業に似た業種の「有料職業紹介事業」と混同されることがありますが、
人材派遣業のベースとなるのは、社員を雇用して人材として派遣を行う形式であるということに対し、
有料職業紹介事業では、事業を斡旋し、仲介手数料を派遣先企業から得るという業種です。

一見すると同じような業種に思えますが、最も大きな違いは雇用先がどこであるかという部分にあります。
人材派遣会社では社員は「派遣元」の会社に雇用され、有料職業紹介会社では「派遣先」の企業に雇用されます。

この点で違いが存在するため、起業を考える際には行う事業がどちらに分類されるのか明確にしておく必要があります。

人材派遣業の形式

特定派遣の女性のイメージ画像

人材派遣業の形式は、大きく3つに分けられます。

  • 一般派遣(登録型派遣)
  • 常用型派遣
  • 紹介予定派遣

特に説明がない場合、「人材派遣」という場合は、おもに仕事があるときのみ雇用契約を結ぶ働き方の一般派遣(登録型派遣)を指すことが多いですが、
人材派遣のなかには無期雇用で契約する常用型派遣や、派遣期間後に直接雇用されることを前提とする、紹介予定派遣などがあります。

より詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください。

【関連記事】人材派遣とは?仕組みや特徴、人材紹介・業務委託との違いをわかりやすく解説!

人材派遣業を始めるまでの流れ

新たに人材派遣事業を開始し人材派遣会社を立ち上げる際には、踏むべきプロセスが存在します。順を追ってみていきましょう。

事業所の準備

後の項目で説明する「労働者派遣事業の許可要件」に沿った事業所を整えます。

派遣元責任者講習の受講予約

派遣元責任者講習は、人材派遣業の許可申請に先立って受講しておく必要があります。

人材派遣業許可申請

必要書類を準備し、許可申請をします。
この時に労働局による事業所の実地調査が行われます。おもに派遣元責任者の席、職務代行者の席、鍵付きキャビネット、研修・面談スペース、社名表示があるか等を確認されます。

厚生労働省による審査・認可の通達

労働局による調査後に、厚生労働省の審査が行われます。
審査の内容は労働局で行われるものに近いもので、厚生労働省による審査後に労働政策審議会の意見聴取が行われ、最終的な可否が決定されます。

許可証の受領(2〜3ヶ月を要します)

労働者派遣事業の許可申請から許可証の交付までには2ヶ月〜3ヶ月を要します。申請が認められても認められなくても通達はされるので、その内容で結果を知ることとなります。
書類に不備があった場合にはさらに時間がかかることもあるため、準備を整えてから申請を行うことが大切です。

人材派遣業においての注意点

人材派遣業においての注意点についてのイメージ画像

さまざまな業界において人材派遣会社からの従業員派遣が行われていますが、その一方で人材派遣(労働者派遣事業)を行うことができない業種や、禁止されている派遣形態も存在します。

  • 人材を派遣できない特殊な業種
  • 日雇派遣の原則禁止

それぞれみていきましょう。

人材を派遣できない特殊な業種

労働者派遣事業には、適用除外業務と呼ばれる、派遣を行ってはならない業務があります。これは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(通称「労働者派遣法」)及びその施行令等によって定められています。

人材を派遣できない特殊な業種の一例をまとめました。どれも高度な知識や技術・資格を要するものです。

  • 弁護士や司法書士
  • 医療関係業種(医師や看護師など)
  • 建設作業や土木作業に従事する職種
  • 港湾運送業務を伴う職種(船内荷役や検査業務などに従事する場合)
  • 警備に関連する業務

この他にも人材派遣を行うことができない職種や、条件付きの派遣のみ認められている業種は存在するため、確認が必要です。

日雇派遣の原則禁止

労働者の保護と雇用の安定を図る目的から労働者派遣法では、労働契約が30日以内の「日雇派遣」は、原則として禁止されています。
ただし、業務内容や日雇労働者の属性によっては、例外的に日雇派遣が認められるものもあります。


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人材派遣業に必要な資格・許可

人材派遣会社を設立するにあたり、事業を始める前に必ず取得しなければならない許可や資格があります。
ここでは、人材派遣業に必要な資格と許可をそれぞれ解説します。

なお労働者派遣事業において、以前は「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」の2種類が存在しており、特定労働者派遣事業に限り許可ではなく届出のみで事業開始が可能でした。しかし、2015年の労働者派遣法改正により、現在はすべての派遣が許可制(一般労働者派遣事業のみ)となっています。

人材派遣業に必要な資格

人材派遣事業を始めるためには、人材派遣業の許可申請に先立って「派遣元責任者講習」を受講し「派遣元責任者」の資格を必ず取得する必要があります。

申請者が、該当する事業の派遣労働者に関わる適正な雇用管理と派遣事業運営を確保するのが目的です。

必要な資格としてはこの「派遣元責任者を選任すること」の一つですが、実際に派遣元責任者として職務を行う場合には3年以上の雇用管理経験が必須となり、企業で人事や労務の担当者を3年以上経験するか、職業安定行政や労働基準行政で3年以上業務に従事する必要があります。雇用管理の知識や経験がある者を選任するのが理想的です。
これらの経験は20歳(成年)時点から起算されるため、実務を20歳未満から始めた場合には注意が必要です。

なお、この派遣元責任者講習は年に数回しかありません。事前にスケジュールを管理し、優先的に「派遣元責任者講習」の受講予約を済ませておきましょう。

人材派遣業に必要な許可

2015年の労働者派遣法の改正により、すべての派遣事業者は許可の取得が必須となりました。(ただし、平成27年9月29日までに、特定労働者派遣事業の届出を行っている事業主は、平成30年9月29日までは経過措置期間として事業を営むことができます。)

よって人材派遣業を行うためには厚生労働省から「労働者派遣事業許可」という認可を取得することになります。

初回は3年、それ以降は5年ごとにこの許可の更新をしなければ事業を継続することは不可能となり、派遣事業で起業する上で避けては通れない許可なので、頭に入れておきましょう。

許可手数料としては、12万円~(事業所数により変動)、登録免許税が一件当たり9万円の納付が必要です。
この許可を取得するための要件については、次の章で詳しく紹介します。

労働者派遣事業の許可要件

「労働者派遣事業(人材派遣業)」を新しく行うためには、厚生労働大臣による労働者派遣事業の許可が必要になり、これは労働者派遣法で規定されています。

労働者派遣事業許可の取得には、事業主が以下の要件を満たし、未成年者ではないこと、さらに欠格事由に該当しないことが前提です。欠格事由とは、暴力団の構成員であることや破産している場合、また禁錮以上の刑や一定の労働法等に違反して罰金刑以上に処せられて5年を経過しない等のことを指します。
なお、申請から許可が下りるまでには、約2〜3ヶ月程度を要します。

  • 財産・資産的基礎
  • 派遣元責任者
  • 事業所の広さや立地
  • 個人情報の管理体制
  • 「専ら派遣」を目的としないこと
  • その他公正な事業を運営するための要件

要件を一つずつみていきましょう。

財産・資産的基礎

人材派遣業を行う会社には、一定の財産基準が設けられています。
派遣社員の保護や、派遣先企業への派遣社員の派遣などが安定的に行われるよう、基盤を整えておくためです。

・基準資産額≧2000万円×事業所数

資産の総額から負債の総額を控除した額(貸借対照表上での基準資産額)が「2000万円×事業所数」以上であること

・基準資産額≧負債÷7

基準資産額が負債総額の7分の1以上であること

・自己名義現金預金額≧1500万円×事業所数

事業資金として自己名義の現金・預金額が「1500万円×事業所数」以上であること

事業所の広さや立地

  • 事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること
  • 使用目的が賃貸借契約書の目的と一致し事務所用途であること
  • 事業所の独立性が保たれていること
  • 風営法で規制する風俗営業や性風俗特殊営業などが密集するなど、事業の運営に好ましくない位置にないこと

個人情報の管理

派遣事業を行う会社は、個人情報保護法に沿って個人情報を適正に管理し、労働者の情報を守れる措置があることが求められます。

よって個人情報を取り扱う職員の範囲、職員教育、取扱規定、苦情処理窓口の設置、苦情の迅速処理を行う、などといった規定を定めておく必要があります。

「専ら派遣」を目的としないこと

特定の会社のみに労働者を派遣する「専ら派遣」は派遣法で禁止されているため、「専ら派遣」を行うことを目的として労働者派遣の許可を受けることはできません。

グループ企業に派遣する場合は、派遣労働者割合を全派遣労働者の総労働時間の8割以下に制限することになっており、7割に達した時点で行政の指導が入ることになります。

その他公正な事業を運営するための要件

その他公正な事業を運営するための派遣元事業主の管理要件としては、以下のものなどがあります。

  • 労働保険や社会保険の適用など、派遣社員の福祉の増進が見込まれること
  • 不当に他人の精神、身体および自由を拘束するおそれがないこと
  • 公衆衛生、公衆道徳上有害な業務に就かせるおそれがないこと
  • 派遣元事業主が名義貸しでないこと
  • 外国人の場合は一定の在留資格を有すること
  • 教育訓練の施設、設備が整備され、実施責任者の配置等、能力開発体制の整備がされていること
  • 教育訓練にあたって派遣社員から費用を徴収しないこと

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労働者派遣事業の許可申請に必要な書類

労働者派遣事業の許可申請に必要な申請書は登記簿などさまざまです、育児休業などを許可取得するときも申請書が必要となるため、書類に記入しているイメージ画像

労働者派遣事業(人材派遣業)の許可申請の際に提出する必要のある書類は、申請者が法人であるか個人事業主であるかによって異なります。
法人と個人事業主に共通の提出書類、法人・個人事業主それぞれに特有の提出書類に分けてご紹介します。申請書類に不備がない場合にはスムーズに申請が受理されます。
それぞれ確認しておきましょう。

法人と個人事業主に共通の申請書類

  1. 事業所の使用権を証する書類
  2. キャリア形成支援制度を有することなどを証する書類
  3. 派遣元責任者の住民票の写し
  4. 個人情報適正管理規程
  5. 就業規則
  6. 事業所のレイアウト図

法人特有の申請書類

  1. 労働者派遣業許可申請書
  2. 労働者派遣事業計画書
  3. 定款または寄付行為
  4. 登記事項証明書
  5. 役員の住民票の写しおよび履歴書
  6. 直近の事業年度における貸借対照表、損益計算書および株主資本等変動計算書
  7. 直近の事業年度における法人税の確定申告書の写し
  8. 法人税の納税証明書
  9. 事業所の使用権を証明する書類

ほか

個人事業主に特有の申請書類

  1. 住民票の写しおよび履歴書
  2. 直近の納税期における所得税の確定申告書の写し
  3. 納税証明書
  4. 貸借対照表および損益計算書
  5. 不動産の登記事項証明書および固定資産税評価額証明書
  6. 預金残高証明書

人材派遣業を行う際のお悩みはぜひご相談ください

人材派遣業を行う際に必要な労働者派遣事業許可申請の手続きでは、要件を満たしているかどうかの確認や、求められる書類の作成や収集が必要となります。

これらの手続きは必須ですが、非常に細かく複雑であり、専門知識がない状態では許可を受けられない可能性もあります。また改正派遣法への対応も必要となるため、労働者派遣事業の許可を申請する際には、専門家に相談することをおすすめします。

弊社facingでも労働者派遣事業許可証を取得しており、具体的な事業の進め方等へのご相談にも対応可能です。
不安のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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