カスタマーサクセスの組織構造を組織図を交えて解説!組織構築ステップやポイントも紹介

カスタマーサクセスにはさまざまな組織図モデルがあります。
企業の規模やサービスの性質などによって、最適な組織構造は異なります。
カスタマーサクセスを新規で導入する場合は、さまざまな組織の構造について理解し、自社に最適な組織図モデルを構築することが大切です。
このコラムでは、カスタマーサクセスの代表的な組織構造について、組織図を交えてわかりやすく解説します。
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目次
カスタマーサクセスの成功には最適な組織づくりが重要
カスタマーサクセスは、顧客を成功に導くことが自社の収益につながるという理念に基づき顧客に能動的にアプローチし、顧客の成功を支援する取り組みです。
カスタマーサポートと混同されやすいカスタマーサクセスですが、業務内容は多種多様で、幅広い顧客層に対応する必要があります。
カスタマーサクセスを成功に導くには、チームのメンバーがそれぞれ最高のパフォーマンスを発揮できるよう、自社にとって最適な形態の組織を構築することが重要です。
最適な組織形態は、企業の成熟度合いやサービスの性質などによってそれぞれ異なります。
次章からは、カスタマーサクセスの代表的な組織形態、組織構築ステップ、組織構築に欠かせないポイントについて解説します。
カスタマーサクセスの代表的な組織構造
カスタマーサクセスの代表的な組織構造は以下の5つです。
- オールラウンダー型
- スペシャリスト型
- セールス型
- 伴走型
- エリア別型
詳しく解説します。
オールラウンダー型
オールラウンダー型では、セールスからオンボーディング・アダプション・リテンション・アップセル・クロスセルまでカスタマーサクセス部門がおこないます。
小規模な企業やカスタマーサクセスを立ち上げたばかりの企業の事始めに向いている組織構造です。
セールス部門とカスタマーサクセス部門が異なる場合、セールス部門ではノルマ達成だけを目的に契約を獲得する場合も多く、早期の解約のリスクが高まります。
一方、オールラウンダー型ではセールスから契約後の支援まで一貫してカスタマーサクセス部門で行うため契約を継続しやすくチャーンレートの低下が期待できます。
また、少人数で行うため社内で密な連携が取りやすく、顧客に迅速かつ手厚い支援を行うことができます。
デメリットは、カスタマーサクセス部門の負担が大きいため顧客基盤が拡大すると対応が難しく、他の組織構造へ移行が必要になる点です。
スペシャリスト型
スペシャリスト型は、カスタマーサクセスのチーム内にオンボーディングチームやテックタッチチーム、Ops/イネーブルメントチームなど役割ごとの専門チームを形成します。
チームごとに担当の業務に注力することができるので、顧客に適切な支援を提供できるのがメリットです。
一方で、チーム同士で充分な連携が取れていない場合は、顧客に不満が生じ、チャーン(解約)の増加につながります。
また、スペシャリスト型の組織を構築するには豊富な人材が必要なため、規模の小さい企業にとっては導入の難易度が高い組織構造です。
セールス型
セールス型(セールス指向型)は、セールス部門とカスタマーサクセス部門が連携を強化して施策をおこないます。
アップセルやクロスセル、契約更新のフォローなどを最適なタイミングで実施することができる点がメリットです。
セールス型は、セールス部門とカスタマーサクセス部門の緊密な連携が必要なため、扱うサービスが複雑ではなく、規模が小さい企業に適した組織構造です。
伴走型
伴走型(パートナーシップ型)は、カスタマーサクセスの担当者が顧客と併走して支援します。
顧客と継続的にコミュニケーションを取りながら接点を保ち良好な関係を構築できるため、顧客の課題やニーズを把握しやすく、先回りして問題解決をすることが可能になり、アップセルやクロスセルの提案が通りやすいというメリットがあります。
顧客ごとに専属の担当者を配置する必要があるため、単価の高いハイタッチ層の顧客が一定数以上いる企業向けの組織構造です。
ハイタッチ層だけでなくロータッチ・テックタッチ層も抱える企業の場合は、スペシャリスト型の組織に加えてハイタッチ専用チームを作る方法もあります。
エリア別型
エリア別型は、地域別でカスタマーサクセスチームを作り、各チームごとにオンボーディングやアダプションなどの担当者を配置します。
全国に顧客を抱える大企業向けの組織構造で、地域ごとに分けることでそれぞれの地域の属性に合わせた活動ができるのがエリア別型のメリットです。
地域ごとのカスタマーサクセスチームに加えて、Opsやテックタッチなど地域に関係なく業務を行うチームは別途独立して構築するのが一般的です。
カスタマーサクセスの組織構築ステップ

カスタマーサクセスの組織の作り方について解説します。
組織構築に必要なステップは以下の通りです。
- カスタマージャーニーを把握する
- 最適な組織構造を検討
- 組織構成に必要な役割・機能を検討
- 人材の確保・育成
詳しく解説します。
カスタマージャーニーを把握する
組織構築の最初の段階で取り組む必要があるのが、カスタマージャーニーの把握です。
カスタマージャーニーマップを作成し、各フェーズごとの顧客の心理を理解することで、顧客がプロダクトを利用してゴール(目標を達成)するまでの一連のプロセスを顧客目線で整理することができます。
カスタマージャーニーを把握し顧客心理の解像度が高まれば、どのタイミングでどのような施策を実施するべきか、どのような情報をどの方法で提供するかなど具体的に掘り下げることができるようになります。
また、全社レベルでカスタマージャーニーを把握することで他部署との役割分担を明確にし、スムーズな連携が取りやすくなります。
最適な組織構造を検討
カスタマージャーニーを把握してどのような支援が必要なのか明確になったら、次は自社に最適な組織構造を検討します。
前述した5つの代表的な組織構造を参考に、自社の規模やプロダクトの性質などを考慮して最も適した組織構造を見極めることが大切です。
組織構成に必要な役割・機能を検討
どのような組織構造にするか決定したら、組織を構成するために必要な役割や機能を検討します。
カスタマーサクセスの組織構成に必要な主な役割・機能は以下の通りです。
- CCO(チーフカスタマーオフィサー)
CCOは、直訳すると「最高顧客責任者」という意味で、カスタマーサクセス部門の最高位の役職であり、顧客満足度に対しての責任を負う役員。
社内の体制作りや戦略立案などを行う。
- CSM(カスタマーサクセスマネージャー)
カスタマーサクセスチーム全体のマネジメントや、業務フローやKPIの管理、営業部門とカスタマーサクセス部門との橋渡し役を担う。
- オンボーディング
新規の顧客がサービスを使いこなせるように支援を行う。
- コンサルティング
顧客の課題解決やサービスの活用度に応じて積極的な提案を行う。
- テックタッチ
FAQやマニュアル動画の制作など、デジタルツールを活用した支援を行う。
- Ops/イネーブルメント
カスタマーサクセス業務のパフォーマンスや効率を向上させるためにツールの整備やデータ分析・オペレーション全体の設計などを行う。
人材の確保・育成
組織構造や必要な役割・機能が決定したら人材の確保・育成をします。
新しく人材を採用する予算がない場合は、既存社員で適正のある人材をアサインするのも選択肢のひとつです。
また、規模が小さい企業の場合は、オールラウンダー型の組織構造をモデルに全社員でカスタマーサクセスに取り組み、規模の拡大に応じて段階的に組織構造を最適化していくのも有効です。
予算に余裕があり新たに人材を採用する場合は、営業やコンサルティング、マーケティングなどカスタマーサクセスに近い職種の経験者が適しています。
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カスタマーサクセスの組織構築のポイント

カスタマーサクセスで成果をあげるための組織の構築に欠かせないポイントは以下の4つです。
- ツールの導入
- KPIを設定する
- タッチモデル別のリソース分配
- 全社で協力する
詳しく解説します。
ツールの導入
カスタマーサクセスツールを導入することで、メール対応などの業務の属人化を防ぎ効率化することができます。
ヘルススコア管理やコミュニティ構築に特化したタイプや問い合わせ対応の効率化に特化したタイプなど、さまざまなタイプのカスタマーサクセスツールがあります。
自社のプロダクトの性質に合った最適なツールを選択することが大切です。
KPIを設定する
カスタマーサクセスで成果を上げるには、適切なKPIの設定が欠かせません。
KPIを適切に設定することで、施策の効果を数値で客観的に判断できるため、業務内容の改善を図ることができます。
また、定量的な指標があることで、担当者が変わっても顧客に一貫性のある支援を行うことができます。
自社のプロダクトの特徴や性質に合わせて適切なKPIを設定しましょう。
カスタマーサクセスにおける代表的なKPIは以下の通りです。
- チャーンレート(解約率)
- リテンションレート(維持率)
- アップセル・クロスセル率
- NPS(ネット・プロモーター・スコア)
- LTV(顧客生涯価値)
タッチモデル別のリソース分配
カスタマーサクセスで効率的に成果を上げるには、顧客をLTVの規模ごとにハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの3つに分類して優先順位を付けて最適なリソース分配をすることが重要です。
LTVの規模が大きいハイタッチの顧客には、1:1で専属の担当者を付けて手厚く支援します。
LTV中間層のロータッチの顧客には、ハイタッチ層ほどの予算をかけることは難しいため、一人の担当者が複数の顧客を支援します。
LTVが低いテックタッチの顧客は人数も多く、人的リソースを割くのが難しいためメールやマニュアル動画の配信などテクノロジーを活用して顧客がセルフラーニングできるように支援をします。
全社で協力する
カスタマーサクセスは、単一部門だけで取り組むものではなく他の部署とも足並みを揃えて全社で取り組むべき施策です。
そのためには、CEOやCOOをはじめ営業担当者までトップダウンで経営戦略におけるカスタマーサクセスの位置づけを明確にし、マーケティング部門やインサイドセールス部門・開発部門・営業部門とスムーズに連携することで施策の成功率が上がります。
具体的には、アップセル・クロスセルの適切なタイミングを営業部門と共有したり、開発部門にプロダクトのフィードバックをしたり、部署間で協力し合うことで顧客に手厚い支援を提供することが可能になります。
また、インサイドセールス部門でもカスタマーサクセスへの共通の理解を浸透させることで、自社に適した顧客へのリードナーチャリング(見込み顧客の育成)を推進することができます。
スムーズな連携のためには、CRMツールなどの運用ルールについても部署間で共有することが大切です。
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カスタマーサクセスの導入ならfacing
カスタマーサクセスの代表的な組織構造や組織構築ステップ、組織構築のポイントについて解説しました。
カスタマーサクセスで成果を上げるには、自社の規模やサービスの性質に合った組織を構築する必要があります。
自社に最適な組織を構築するためには、カスタマージャーニーを把握し、顧客の成功を実現するために必要な支援を明確にすることが大切です。
また、社内にカスタマーサクセス文化を根付かせて全社で取り組むことも重要です。
これからカスタマーサクセスの組織化に取り組む場合は、人材の確保や育成、業務フローの作成、ナレッジの構築など多くの課題があります。
カスタマーサクセスは近年SaaS型ビジネスモデルの普及とともに注目され始めた比較的新しい業種のため、経験者がまだ少ないのが現状で人材確保が困難です。
逆に考えると、その中でいち早くカスタマーサクセスを導入することで競合他社に一歩リードすることができます。
カスタマーサクセスの導入に不安がある場合は、プロセスごと外注するのも選択肢のひとつです。facingは、インサイドセールスからカスタマーサクセスに至るまでの人材不足の問題をBPOのノウハウで解決いたします。
facingのBPOでは、経験豊富なスタッフが最適なチームを結成して顧客企業に伴走し課題解決・目標達成に貢献します。
カスタマーサクセスの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。